ほしいものぜんぶてにいれる

きみにはそうあってほしいとおもう

答えなんてどこにある?

わたしはBIG GAMEが苦手だ。
正確に言うと苦手な期間があった。
これだけ言うと語弊があると思うけれど。

薫太くん担になったのはちょうど9年前。
彼のことは、担当になるちょっと前からBOYS(当時はBOYSに居た)の中なら薫太かな、って言っては友人や母親に否定されてた。確かに当時の彼の容姿はただのチャラ男…なんなら質の悪そうなチャラ男だったことは認める。特に母親世代から見たら否定したくもなるだろうって今なら分かる。
でもわたしには魅力的に見えた。もちろん顔が小さくて身長が高くて手足が長くて。そういう容姿もそうだけど、周りからよく怒られてた笑い方だって、笑顔が下手なところだって、実は几帳面で気遣い屋さんなところだって。全部全部好きだった。いや、今でもずっと好きだ。
だけどやっぱり、わたしが好きになったのはジャニーズの薫太くんだった。今の薫太くんも同じ薫太くん。だからどうしたって好きなのはやめられない。だけど、でも、やっぱり違う。彼が辞めてしまって、その日はずっと泣いてた。しばらくはずっと、色んなこと思い出しては泣いて。実際に辞めるまでは、どうせ干されてるならいっそ辞めて、やりたいことやればいいのに、なんて思っていたのに。
それだけわたしはあの事務所に執着していたんだと、今なら思う。それから、あの10人でのデビューにも。

今はもう10人のこと、知らないファンも増えただろうし、BIG GAMEは関西Jr.全体のオリジナル曲だと思ってる人もいるだろう。時間が流れるってことは、そういうことだ。でもいつまでもわたしの中の時間は止まってる。
当時のわたしには薫太くんが全てだった。幼かったから、だけじゃなくて。ただ純粋に彼だけを好きで、彼の未来は輝いてるって信じていたかった。
なんていうか本当に、あの10人なら、夢を叶えられるって信じてた。今思えば彼らには若さと勢いしかなかったのかもしれない。だけどそれは、それこそ、その時にしか無いもので。若さなんて特に、どんどん失われていくものなんだから。だから輝いていたし、応援したいと思ったし、絶対にデビューしような!って、この10人でテッペンとろうな!って。心の底から思ってた。
だから、BIG GAMEを初めて聞いたとき、10人でのパフォーマンスを見たときから、あの曲は大好きで大切な宝物だった。
薫太くんがこの10人最強って言うからわたしも最強だと思ってたし、あんまり目標とかやりたいことを口にしないあの子が10人でいたらこういうことがしたいとか言うようになったから、嬉しかった。エイトカウコンのドームでBIG GAMEをやれたことは自信にもなった。このまま一気に駆け上がって、何年後かにはデビューして自分たちのライブで同じ景色を見せてくれるはずだって確信に近い気持ちになった。

だからこそ、失ったものは大きかった。
1人、また1人と減っていって。
もう二度と10人であの曲をやることはないんだって思ったら、だったらもう、見たくないし聞きたくもないって。それくらい、10人でやることに意味があった。
でも結局一番は、10人でいれば薫太くんが幸せそうだったから。だからあの10人が大切だった。薫太くんが幸せそうに笑っていてくれることが、当時のわたしにとっては全てだった。

薫太くんのいないBIG GAMEを初めて見たのは確か、優馬のファンミだったと思う。まだ薫太くんは辞めてなかった。でもそこには出てなかった。その場には居なかった。あんまりショックで、イントロがかかった瞬間から、立ってられなかった。見てられなかった。
ああ、1人でも欠けたら意味がないんだって。別の人が立ったらこんなにしんどいのかって。それ以来、大好きで大切な宝物だったあの曲が苦手になった。薫太くんにとってもあの曲はきっと大切で。それが分かるから、薫太くんのいないところで、別の人が歌って踊ってしまうことに嫌悪感さえ抱いた。

それからは、出来るだけ避けて通った。見ないように聞かないように。見るなら10人の映像を。
そうしているうちに、薫太くんは辞めてしまって。
辞めたら二度とやってるところは見られないって寧ろ諦めがついた。前よりは見られるようになった。だってここに薫太くんが立つことは二度とないんだから。それでもやっぱり少し抵抗はあった。大好きで大切な曲だからこそ、歌い継いでくれることにありがたさも感じていたけれど。それでも。

で、久しぶりに入った去年のクリパ。
兄組のオープニングがBIG GAME。
薫太くんがいない松竹座。薫太くんがいないBIG GAME。別の人を観に行ってるのに、それでも、分かっててもしんどかった。立ってはいられたけど、やっぱり歌声だって10人のが耳の奥にこびりついてるし、気を抜いたら7人の姿に10人を重ねたり。ああこんなの今頑張ってる皆に失礼だって、そう思って泣けてきた。大好きなのに、大切な曲なのに。
だからやっぱり苦手だって思った。
わたしはもうこの曲を聞かない方が、見ない方がいいって。そう思った。

思ったんだけど。
そういう暗くてネガティブな思考から救ってくれたのは、丈くんだった。
丈くんが雑誌だかで、オープニングをかっこよくしたかったって、それだけは譲れなかったって言ってたのを読んで。そのかっこよくしたかったオープニングの1曲目にあの曲を選んだって事実が、単純に嬉しかった。丈くんの中のかっこいいの象徴って、基本的にエイトだと思ってたから。かっこよく派手にキメたいってなったときにBIG GAMEって選択肢があることに驚いたし、そう思って見てくれてたんだって思ったら嬉しくてしんどかった。
ちいさい丈くんは、舞台袖からかっこいいなって、大きくなったらやりたいなって、そう思ってあの10人を見ていたんだろうか。

そんなこと、彼にしか分からないけれど。


それでも、丈くんのおかげで、何年か越しにやっと、時間が流れ始めた。大好きで大切な宝物は、2つになった。
薫太くんの大好きだった10人のBIG GAMEが1つ目。丈くんがかっこいいと思ってくれたBIG GAMEが2つ目。

あの曲を初めて聞いたあの日から、つい最近まで。何年もごちゃごちゃと色んなことを考えてしまったけれど。答えなんてどこにもなくって。結局のところ、最高のこの瞬間を、大好きで大切な人と、感じたいだけだったのかもしれない。

薫太くんが毎日笑っていられますよう、
丈くんの毎日がキラキラ輝いていますよう。

それがわたしの最高の瞬間。